注意が必要な危険略語

医療現場では、迅速なコミュニケーションやカルテ記載のために多くの英語略語が日常的に用いられています。しかし、文字の視認性の悪さ(手書きの崩れなど)や、複数の意味を持つ略語(ダブルミーニング)は、重大な薬物処方ミスや指示間違いを誘発し、患者安全上の重大な脅威となり得ます。

当サイトでは、これらの混同しやすい略語を**「危険略語 (Dangerous Abbreviations)」**と位置づけ、臨床安全管理の観点から使用制限や注意喚起を促しています。

なぜ危険略語が問題になるのか?

  1. ダブルミーニングによる指示取り違え 同一の略語が「中止(Discontinue)」と「退院(Discharge)」、あるいは「右眼(OD)」と「右耳(AD)」など、全く異なる医療行為・部位を指すことで、誤った処置が行われるリスクがあります。
  2. 手書き文字の類似性による見間違い 「IU(国際単位)」と「IV(静脈注射)」、「q.d.(1日1回)」と「q.o.d.(1日おき)」など、書体や手書きの乱れによって解釈ミスが発生します。
  3. 小数点の見落とし 「.5mg」と書いて「5mg」と誤読されたり、「1.0mg」の「.」が見えずに「10mg」と誤読され過剰投与になる事故が知られています。

当サイトに登録されている危険略語

以下は当サイトで解説している、特にインシデント事例の多い危険略語の一覧です。詳細な危険理由や回避策については、各項目をクリックしてご確認ください。

  • D/C 正式名称/別名: Discontinue, Discharge, Direct Current

    D/Cは、指示の中止(Discontinue)と退院(Discharge)という、患者安全に関わる複数の極めて重要な意味で使われるため、代表的な「危険略語」とされています。


予防対策の基本原則

  • 略語の不使用(原則として日本語または正式名称で書く) 特に処方指示、アレルギー情報、検査オーダーなどでは、略語を使わずに「中止」「退院」等と記載します。
  • 指示の受け手のダブルチェックと疑義照会 指示書に危険略語が含まれていた場合、前後の文脈で自己判断せず、必ず作成した医師に口頭またはシステムを通じて確認を行います。