D/C (よみ: でぃーしー) 危険略語
正式名称・同義語: Discontinue, Discharge, Direct Current
臨床安全上の注意(インシデント防止)
この略語「D/C」は、文脈によって複数の重大な意味を持ち、誤解や処方・指示の取り違え(インシデント)に繋がるリスクが高いため、「危険略語(Dangerous Abbreviation)」に指定されています。臨床現場での手書きや口頭指示での使用は避け、誤読を防ぐために正式名称を用いるか、前後関係に疑義が生じた場合は速やかに発信元に確認してください。
意味
医療現場におけるD/Cは、主に以下の3つの異なる英単語の略語として使われています。
- Discontinue(中止): 点滴や内服薬、処置などの治療指示を「中止する」という意味。
- Discharge(退院): 患者が「退院する」という意味。
- Direct Current / DC shock(直流除細動): 心室細動などの致死的不整脈に対する「電気ショック」という意味。
どんな場面で使うか
- 処方・点滴指示の変更時: 「メイン点滴 D/C」「ワーファリン D/C」など、処方や処置の中止指示をカルテに記載する際に用いられます。
- 退院の指示・計画時: 「明日 D/C予定」「D/Cサマリー作成」など、退院に関する指示や書類作成を記録する際に用いられます。
- 心肺停止・救急蘇生時: 「至急、DCの準備をして!」など、除細動器での電気ショック実施の場面で叫ばれます。
関連語
- 中止 (Stop): 略語を使わない明確な日本語表記。
- 退院 (Discharge): 略語を使わずに「退院」と表記する。
- 除細動器 (Defibrillator): 電気ショックを与える機器の総称。
注意点
D/Cは、「薬の中止(Discontinue)」と「退院(Discharge)」のどちらの意味でも解釈できるため、非常に重大な誤認事故を招く恐れがあります。
例えば、医師が「ワーファリン D/C」と指示を書いた場合、
- 「ワーファリンの服用を中止する」
- 「ワーファリンを退院時処方(退院用の薬)として出す」 という全く逆の意味に受け取られるリスクがあります。実際に、この解釈の不一致によって内服が誤って継続されたり、逆に必要な薬剤がストップして血栓症を引き起こす医療事故が国内外で発生しています。
そのため、日本医療機能評価機構などの安全管理団体でも、手書きカルテや指示箋において**「D/C」という略語を使用することは非推奨(原則禁忌)**とされています。指示を出す側は「中止」「退院」と日本語で明確に記載し、受け取る側の看護師や医療事務も、指示書に「D/C」と書かれている場合は自己判断せず、必ず指示を出した医師に直接内容を確認(疑義照会)しなければなりません。