精神分裂病 (よみ: せいしんぶんれつびょう) 不適切・差別的表現注意
正式名称・同義語: Schizophrenia, 統合失調症, シゾ, プシコ
表現に関する注意(配慮が必要な言葉)
この用語「精神分裂病」には、歴史的な経緯や臨床現場の古い慣用表現において、今日では差別的または不適切なニュアンスを含みうる表現が関係しています。当サイトでは学術的な記録、およびカルテや文献の読解における解釈の誤解防止を目的に記述しており、差別的表現の使用を推奨または肯定するものではありません。
意味
精神分裂病(せいしんぶんれつびょう)は、幻覚や妄想、思考の混乱、意欲の低下などを主症状とする精神疾患の、かつての日本における正式な病名です。英語の Schizophrenia(ギリシャ語の「分裂する」と「精神」に由来)の直訳として長年使われていました。
2002年(平成14年)に、日本精神神経学会と精神障害者家族会連合会などの合意のもと、「統合失調症(とうごうしっちょうしょう)」へと正式に呼称が改訂されました。
呼称変更の経緯
「精神分裂病」という言葉は、「心がバラバラに壊れて二度と元に戻らない不治の病である」といった極めて不正確で過度な恐怖心を社会に与えていました。これにより、以下のような深刻な問題が生じていました。
- 社会的スティグマ(偏見): 患者や家族が過度の差別や不利益を被る原因となっていた。
- 病名告知の困難さ: 診断の恐怖感から、医師が患者本人に正しい病名を伝えることが難しく、治療の遅れに繋がっていた。
- 回復への希望の阻害: 疾患の生物学的な実態(脳のネットワークや情報統合の不調)と乖離した語感であったため、回復可能であるという認識が広まりにくかった。
これらの問題を解決し、生物学的な病態(脳の統合機能が一時的に調子を崩している状態)をより正確に表現するため、「統合失調症」という呼称が新たに考案され、急速に浸透しました。
臨床・実務における注意点
- 旧カルテや古い文献の読解: カルテや医学論文、看護記録には「精神分裂病」または略称として「分裂病」「SZ」などと記載されていることがあります。これらを正確に解釈するために歴史的呼称を把握しておくことは重要です。
- 現代における使用: 現代の臨床現場や医療事務、患者・家族への説明において「精神分裂病」という呼称を使用することは、倫理的および医療安全管理上、極めて不適切とされています。必ず「統合失調症」という最新の用語を使用してください。